
『休んでいるのに、なぜ良くならない?』 うつの休養で見落としやすいこと
更新日 : 2026/8/22『休んでいるのに、なぜ良くならない?』 うつの休養で見落としやすいこと
「先生から、
しばらくゆっくり休んでくださいと言われた」
「仕事も休み、薬も飲んでいる」
「できるだけ何もしないようにしている」
それなのに、数か月経っても
なかなか回復を実感できない。
そんな状態が続くと、
「このまま休んでいるだけで、
本当に良くなるのだろうか?」
と不安になってしまう方も
いらっしゃると思います。
私はこれまで17年間、
「うつ」で悩むご本人やご家族の相談に
携わってきました。
そして私自身も、かつて約10年間、
「うつ」に苦しんだ経験があります。
その経験から強く感じていることがあります。
それは、
「休むこと」と「何もしないこと」は、
必ずしも同じではない
ということです。
休養は、とても大切です。
最初に誤解のないように
お伝えしたいのですが、
私は休養そのものを
否定しているわけではありません。
心身が疲れ切っているときに、
無理をして頑張る必要はありません。
ただ、
長く休養している方から、
「ずっと寝ているのに疲れが取れない」
「以前より何もできなくなってしまった」
「何かをするのが怖くなった」
「いつまで休めばいいのか分からない」
というお話をよく伺うことがあります。
そこで一度考えてみてほしいのが、
「今の自分に合った休み方が
できているだろうか?」
ということです。
体を休ませるだけではなく、
頭や気持ちも休ませる
例えば、
一日中横になっていても、
「早く治らなければ」
「家族に迷惑をかけている」
「仕事に戻れるのだろうか」
「過去の出来事、未来への不安」
そんなことを
ずっと考えていたらどうでしょう。
体は横になっていても、
頭の中は働き続けています。
私は、こうした状態の方には、
体だけではなく、
頭や気持ちをどう休ませるか?
という視点もとても重要になります。
『「何かをする」のではなく、まず「感じる」ことから』
「少し動いてみましょう」と言われても、
「うつ」でつらい状態のときには、
その「少し」さえ大きな負担になる
ことがあります。
例えば、
以前は釣りが好きだった人に、
「気分転換に釣りへ行ってみたら?」
と言っても、
準備をして、出かけて、
釣りをするところまで考えれば、
それだけで疲れてしまうでしょう。
だから私は、
もっと手前から考えます。
釣りに行かなくてもいい。
まず、釣り道具に触れてみる。まずは、それだけでもいいのです。
・車が好きだった方なら、
運転しなくても構いません。
車の中に座ってみる。
・音楽が好きだった方なら、
以前好きだった音楽を、
少し聴いてみる。
・本を読むことが負担なら、
文章を読もうとせず、
好きな写真集を眺めてみる。
ほかにも、
・窓を開けて外の空気を感じてみる
ベランダに出てみる。
・好きだったコーヒーミルや楽器、
自転車などに触れてみる。
・家の中で、お気に入りだった服を着てみる。
・好きだった香りを嗅いでみる。
・植物に水をあげてみる。
・好きだったものを食べたり、
飲んだりしてみる。
など、
その人によって「小さな刺激」はそれぞれです。
大切なのは、
「以前できていたことを、
以前と同じようにやらなければ」
と考えないこと。
いきなり元の生活へ戻るのではなく、
見る。
触れる。
聴く。
嗅ぐ。
味わう。
まずは五感を使った
小さな刺激から始めてみる。
そして、
その刺激を負担なく感じられる
ようになってきたら、
次のステップとして
・シャワーを浴びてみる。
・お風呂に浸かってみる。
・軽くストレッチしてみる。
・家の周りを少し歩いてみる。
・近くのコンビニまで行ってみる。
というように、
その人の状態に合わせて
「小さな行動」
へつなげていきます。
もちろん、その日の状態によって
できない日があっても構いません。
無理をして達成することが
目的ではないからです。
「できるか、できないか」ではなく、
今の自分には、どのくらいの刺激なら負担にならないのか。
そこを確かめながら進めていくことを、
私は大切にしています。
『「休む」から「少し動く」へ』
うつからの回復は、
昨日まで何もできなかった人が、
ある朝突然、以前の生活に戻る。
そんな簡単なものではありません。
休む。
少し気持ちが落ち着く。
小さな刺激を感じる。
できそうなことを少しだけやってみる。
そして、
また休む。
そうした小さな積み重ねの中で、
「今日はこれができた」
という感覚が生まれてくるのです。
私は、この小さな変化を
とても大切にしています。
「このままでいいのだろうか」
と感じている方へ
もし今、
通院している。
薬もきちんと飲んでいる。
休養もしている。
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